なんらかの体験により、心が本来の役割を果たせなくなった状態をトラウマ(心的外傷)と言います。トラウマは心身にさまざまな影響を及ぼし、生きづらさの元になることがあります。
トラウマ体験になりうる出来事として、非日常的な恐怖体験と日常的に繰り返されてきた出来事の2つがあげられます。
1.非日常的な恐怖体験
非常に危険で恐ろしい出来事がトラウマになります。震災や火災などを経験した、事故で重傷を負った、暴力的な犯罪被害を受けた、望まない性行為を強いられた(レイプされた)、戦争など。また、自分が体験していなくても他者の恐怖体験を目の前で見たり、親しい人が暴力的な出来事で亡くなったりしたことがトラウマになることがあります。
2.日常的に繰り返されてきた出来事
日常的に繰り返されてきた出来事が心に複雑な傷を残し、より複雑な影響を与えることがあります。子どもの頃に受けた虐待:身体的・心理的・性的虐待・ネグレクト(食事や必要な世話を受けられなかった)、養育者が頻繁に替わった、養育者との不安定な関係、家族のだれかが暴力を振るわれるのを見てきた(面前DV)、パートナーから暴力・暴言(DV)を繰り返し受けてきた、学校などでのいじめ。この他にも、非常な怒り、恐怖、裏切られたと感じるような体験や、服従を強いられたり、打ちのめされたり、恥辱感を感じたりするような体験は、心に傷を残すことがあります。
【参考文献】
『心的外傷と回復 増補版』ジュディス・L・ハーマン著 中井久夫訳 みすず書房
『トラウマのことがわかる本 生きづらさを軽くするためにできること』 白川美也子監修 講談社
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