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【論文紹介】子どもの心身症・不登校・集団不適応と背景にある発達障害特性(1)

執筆者の写真: 吉牟田まどか吉牟田まどか


発達障害を持つお子さんはその発達特性から、学校や集団で不適応を起こしやすく、また自分の気持ちを表すことが難しいので、心身症になりやすいです。


今回は、「子どもの心身症・不登校・集団不適応と背景にある発達障害特性」石崎優子著 『心身医』57号 P39〜43、1997年 を要約して紹介します。


 

はじめに

子どもの心身症と成人のものとの違いについて

・子どもの心身症は年齢が低ければ低いほど、子ども自身よりも周囲の環境を反映する。

・成人のように臓器特異性*1ではなく、身体の不定愁訴*2として表れやすく問題行動を伴いやすい。

・心身症発症に子どもの発達上の問題(発達特性や知的水準)がかかわることが多い。


注釈は筆者(吉牟田)が入れました

*1 臓器特異性(的):ある臓器にだけ認められるような病態や症状  (難病情報センターより)

*2 不定愁訴(ふていしゅうそ):倦怠感、頭痛、微熱感、不眠などなんとなく体調が悪いとの自覚症状があるものの、受診・検査をしても原因となる病気がわからない状態 (健康用語辞典 一般社団法人 日本健康倶楽部より)


子どもの心身症の場合、発症に先立つ明確な心因が見つからないことが多く、症状は成長段階に沿って移り変わることも少なくない。


小児心身症の定義(日本小児心身医学会の提案)

「小児の身体症状を表す病態のうち、その発症や経過に心理社会的因子が関与する全てのものをいう。それには発達・行動上の問題や精神症状を伴うこともある」と発達の問題との関わりを明言している。


子どもの不登校と発達障害

 小児心身症臨床の場で最も多い問題の一つが不登校。患児は何らかの身体の不定愁訴とともに不登校であることを訴えて、医療機関を受診。保護者は児の身体症状よりも不登校であることに困っていることも少なくない。

 

文部科学省の不登校の定義は年間30日以上欠席。

不登校の原因は大別すると・・・

①学校側の問題、            

②子ども側(家族も含む)の問題    

③学校と子どもとの相性の問題。


その対応は 

①学校側の問題を解決する

②子ども側の問題を解決する

③学校と子どもとの相性をよくすること  


杉山によればあいち小児保健医療総合センター心療科を受診した児の約半数が発達障害、金原の報告では、不登校事例の40%以上が発達障害であった。この問題を解決するには、子どもの発達特性を理解した上での、子どもと学校の双方の環境調整が重要。


続きは次回へ。


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